読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おんなはつらいよ 

世界の国からこんにちは

食べることは生きること

 

 四年ぶりに訪れたモロッコの旅は、大好きなマラケシュからスタートした。

スペインのアルへシラスからフェリーに乗って、念願のジブラルタル海峡を渡った。

f:id:junoonuj:20160909074508j:plain

四年前、まだまだ旅の初心者だった私と友人にとってこの地は、目から鱗なことだらけ。

 今思えば情報不足もいいところで、とにかく行き当たりばったり、珍道中という言葉がぴったり。
10代故の怖いもの知らずな精神で、アフリカ大陸の端っこに女2人で乗り込んでいった。
そしてこの旅で味わったこと全てが、その後の旅の基準となり、私と友人は刺激を求めて、あまり周りが旅していないマイナーな地をセレクトするようになった。
要するにちょっとやそっとのことじゃ驚かなくなるほど、モロッコで体験した数々の出来事は刺激的すぎたのだ。

f:id:junoonuj:20160909074913j:plain

f:id:junoonuj:20160909075106j:plain

f:id:junoonuj:20160909075137j:plain

f:id:junoonuj:20160909075215j:plain

f:id:junoonuj:20160909075319j:plain

f:id:junoonuj:20160909075446j:plain

f:id:junoonuj:20160909075612j:plain

魅力がありすぎるモロッコ。衣食住どれを切り取っても面白いこの国で、私はモロッコの食文化に胃袋と心を鷲掴みにされたのだった。
特に私を夢中にさせたものは二つ。
 
一つ目はスークと呼ばれる市場。
スークは地元の人たちの生活の場。
マラケシュやフェズなどの観光地のスークは、入り口に近いほど観光客向けの土産物屋が並ぶが、奥に進めば進むほど、ローカル御用達エリアを見ることができる。
観光よりも人々の暮らしに興味がある身としては、この奥の奥にある人々の生活エリアこそが最大の魅力だ。
スークには、野菜や果物、肉や魚、パンや菓子、スパイス。ありとあらゆるものが、生き生きと並んでいる。

f:id:junoonuj:20160909070514j:plain

f:id:junoonuj:20160909070647j:plain

f:id:junoonuj:20160909070753j:plain

f:id:junoonuj:20160909070943j:plain

f:id:junoonuj:20160909071100j:plain

特に面白いのは肉屋さん。
解体された羊や牛がどーんっと店先にぶら下がっていたり、様々な部位がドカッと並べられている。
ニワトリをその場で絞めて、捌きたてを売っている店があれば、違う肉屋ではラクダの頭が吊るされていたりする。
 
日本じゃお目にかかれない光景をグロテスクだと思う人には、悲鳴をあげたくなるエリアかもしれないが、市場の生命力に溢れた活気ある空気がたまらなく好きで、歩く度に釘付けになってしまう。
釘付けになりすぎて、ついついシャッターを押し忘れてしまうのだ。
スークの写真が意外と少ないことに後から気づいた。

f:id:junoonuj:20160909070120j:plain

f:id:junoonuj:20160909070306j:plain

f:id:junoonuj:20160909070402j:plain

もう一つはマラケシュの屋台。
マラケシュ最大の見所「ジャマ・エル・フナ広場」には、毎晩無数の屋台が建ち並び、夜が深まるほど活気づく。
夕方から深夜二時ごろまで毎日やっているこの屋台軍団は、高い所から見下ろすとまるで火事でもおきているかのような光景が広がる。
 
屋台は毎日昼過ぎになると、各店の人々が一から組み立てる。
これがかなり重労働そうに見えるのだが、彼らは慣れた手つきでスイスイと組み立てていくのだ。
気づけばさっきまで更地だった広場に、立派な屋台の群れが現れる。
この組み立て作業を、高台にあるお気に入りのカフェで日記を書きながら見下ろすことが毎日の日課になっていた。

f:id:junoonuj:20160909063626j:plain

f:id:junoonuj:20160909063736j:plain

f:id:junoonuj:20160909063829j:plain

f:id:junoonuj:20160909063927j:plain

f:id:junoonuj:20160909064236j:plain

フナ広場の屋台には、全て店番号がついている。
「羊」「かたつむり」「お菓子」といったメニューを絞っている店や、ケバブやソーセージ、サラダやスープなど色々ある「何でもレストラン」があり、合わせると100店舗ほど並ぶ。
 
数ある屋台の中でも、私は羊料理を扱う44番の店が大のお気に入り。
この店は観光客だけではなく、地元民にも大人気で、いつ来ても混んでいた。
大鍋と羊の頭が並ぶ店先は、インパクト大。
よほど味と人気に自信があるのか、他の店のように派手な客引きは一切しない。
調理しているおじさんたちも、どこか職人気質で黙々と調理している。

f:id:junoonuj:20160909062741j:plain

f:id:junoonuj:20160909074705j:plain

 この店の人気メニューは、「タンジーヤ」という羊肉の煮込み。

大鍋で煮込んでいて肉が柔らかい。少しカレーのような風味がして臭みもなく、毎日食べでも飽きない。
これを地元の人たちはパンを上手く使って、右手で食べるのだ。
 
他には、羊の舌や腸などあらゆる部位を刻んで茹でて、スパイスを振りかけた羊ミックスも最高に美味い。
イスラム教の国なのでお酒と一緒に食べられないのが残念なくらいビールに合う味だ。

f:id:junoonuj:20160909064411j:plain

個人的なお気に入りは、羊の脳みそ。
茹でて刻んでこちらもスパイスを振りかける。
一度醤油を持参してかけて食べたてみたら、白子と似た味がした。
大事なのは勇気。口にすると案外馴染みの味に似ていたりする。

f:id:junoonuj:20160909062448j:plain

私はこの屋台にマラケシュ滞在中の一週間、毎日通った。
そのうち、何人かの店の人が私のことを覚えてくれるようになった。

そして、毎日同じ宿に滞在している人を代わる代わるこの店へ連れて行ったのだ。

そしてそして遂にマラケシュ滞在最終日。

店のおじさんたちに「スモールボス!!」と呼ばれるまでに私は成長したのだった。。。

f:id:junoonuj:20160909065029j:plain

モロッコの食の場は、隠すことをしない。
スークや屋台を歩いていると、自分が口にしているものが、いくつもの工程を経ていること、そしてさっきまで自分と同じ命がある生き物だったということがとてもよくわかる。
月並みな言い方だが、命をいただいている。
そしていただいたからには、美味しく豪快に食べなければと思い、食欲が湧いてくるのだ。
モロッコの活気ある食文化は私に「食べることは生きること」だと改めて教えてくれる。
 
あー!お腹が空いてきた。
もしも「どこでもドア」があるのなら今行きたい場所はただ一つ。
44番の羊屋さん!!!