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おんなはつらいよ 

世界の国からこんにちは

リスボン、ある夜のはなし

 

二週間のモロッコ滞在を泣く泣く終え、再びユーラシア大陸に舞い戻り、ヨーロッパの最西端の国「ポルトガル」に到着。

ポルトガル、簡単に言ってしまえば「人良し、飯良し、景気良し、治安良し!」

と旅の重要ポイントをいとも簡単にクリアしてしまうとっても素敵な国だった。

「これはもう、好きになるしかないっしょ、ポルトガル!!」というキャッチコピーをつけずにはいられない。

訪れたのは、首都のリスボン、第二の都市ポルト、第三の都市コインブラ、ロア岬のある町シントラ。

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 (リスボンに雨は降るのだろうかと思ってしまうほど、毎日天気が良い)

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 (美しすぎるポルトの街と旨すぎて泣きそうになったシーフードリゾットの”アロース・デ・マリスコス” ああ、お米って素晴らしい!!)

 リスボンで泊まったのは、ジャズをテーマにしたゲストハウス。

各部屋それぞれに名前が付けられていて、「ニーナ・シモン」の部屋などジャズに関する名前がちらほら。

オーナーがニーナ・シモンのファンなのか、宿には彼女の写真が沢山飾られている。

ジャズが流れるお洒落な安宿のドミトリーには、ベルギー人、スペイン人の男性、そしてイタリア人女性が既に泊まっていた。

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リスボン最終日。

昼間はユーラシア大陸最西端であるロカ岬を訪れたものの、着いた途端に雨が降り出し、綺麗な海が広がっているはずが、霧で何も見えない。。。

よりによってここで雨なんて悔しい!!と思いつつ、実を言うと最西端と言われたところで、大陸に住んでいない者としては、いまいちピンと来ていないという事実に気づき、おとなしくその場を立ち去った。

雨のロカ岬の雰囲気は、「ポルトガル版の東尋坊」とでも言っておこうか。(東尋坊に行ったことはないけれど)

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午後には再びリスボンに戻り、市内観光を終え帰宅。

部屋でくつろいでいると、同部屋のベルギー人青年が帰ってきて一言。

「ハーイ!チキン食べる?!」「チキン!?えっ、食べる!!」

そう答えると彼は、キッチンで骨付きチキンを豪快に料理し始めたのだ。

おまけにこれまた豪快に米まで炊き始めた。

日本人からすると「絶対NG!!」な米の炊き方だったが、そのあまりの豪快さに言葉を失い、おとなしく待つことに。。。

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そんな豪快な料理人の名はアブデル。

数か月前からヨーロッパを放浪している彼は、 ベルギー生まれだが、父親がモロッコ人、母親がアルジェリア人で彼自身もムスリム

驚いたのは、初めて会った日、突然部屋の床にマットを敷いてお祈りを始めたこと。イスラム教の国を旅した際に、モスクや駅構内のお祈り部屋での礼拝姿を見かけたことはあったが、こんなに間近で見たことはなかった。

そういえば、モロッコで知り合ったインドネシア人の青年も列車移動の最中に

「ごめん、今からちょっとお祈りするね」と言って座席に座りながら静かに祈っていたな。

このように宗教が生活の一部にある人々と出会うのは、とても興味深い。

彼は、必ず旅先にあるモスクに足を運ぶことにしているらしく、ヨーロッパの色んな国のモスクの写真を見せてくれた。

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さて、ご馳走してもらうだけでは申し訳ないので、何か日本食をと思い、持っていたインスタントの味噌汁とお吸い物を出すことにした。

私の意図としては、日本食に興味津々な彼にどちらも試してもらいたく、二種類用意したのだが、このささやかな夕食の写真を家族LINEに送ってみたら、

普段私のメッセージに全く反応しないクールな我が弟が、「なんで汁物と汁物なんだよ!!」と即座にツッコみを入れてきたので、おそらくアブデルもそう思ったであろう。

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さて、この奇妙でセンスがあるとは到底言い難い、不思議な組み合わせのディナーは始まり、今朝去って行ったルームメイトのギャグかと思うようないびきの話題で終始大爆笑。その後話は弾み、話題はお互いの旅に出る前の話へ。

25歳のアブデルは、最近までソーシャルワーカーの仕事をしていたそう。

様々な問題や家庭の事情を抱えた、10代の子供たちと一緒に暮らしていたらしい。

どうりで面倒見が良いと思った。

スタッフが不在中にチェックインしに来た宿泊客に、宿の説明をしたり、おすすめの英語の勉強方法を私に教えてくれたり、近くに大きなスーパーが無く、困るだろうからと自身が買い溜めしていたお水をくれたり、とにかく親切心の塊のような青年だったからだ。

一方、いくら心優しい彼であっても、ただでさえ多感な思春期の彼らと共に生活することは、決して簡単なことではなかったと容易に想像がつく。

当然、怒らなければいけない場面に遭遇することも多く、大変なことはいっぱいあったそう。しかし、時々一緒に映画を見たり、遊んだりしている時の彼らの楽しんでいる姿を見ることで、やりがいを感じていたと話す。

そんな仕事柄なのか彼は、日本のひきこもりについても知っていて、色々と質問された。

「若者だけではなく、大人もいると聞いたけど本当か」

「彼らは何を恐れているのか」「どうしたら外に出られるようになると思うか」などと問われ、「社会に出てからなってしまう人も沢山いる」

「学校や職場での色々なトラウマが原因で人と会ったり外出することが怖くなってしまっている」

「社会や周りの人が理解を示し、少しずつ変わっていくしかないと思う」などと答えた。

その他にも日本では、若者の自殺率の高さが社会問題の一つでもあり、

特に働き盛りと言われる30代の男性に多いと話すと、

「どうしてだ。十分若い!人生はこれからなのに!これから何だってできるのに!」と悔しそうに言っていたのがとても印象的だった。

 ここまでのレベルの話になると、当然私の拙い英語力では上手く説明しきれず、歯痒さを感じる。

意見は沢山持っているのに説明できないというのは、自分がひどく子供になったような気分になるからだ。

その後は、お互いの国の接客業についての話題へ。

日本は、「お客様は神様」という文化があり、客が何かを購入すれば、店員はお辞儀をすると話すと、目を丸くして驚いた。

ベルギーでは店員と客の立場は同等、むしろ店員が商品を売ってあげている。という感覚もあるため、日本のような光景はまず目にしないとのこと。

また、 彼が学生時代にバイトしていたホームセンターなんて、客が来店すると店の内線を使って「客だー!客が来たぞー!」とバイト同士で騒いでいたそう。「どんな店だよ!!鬼ごっこしてる場合じゃないでしょ!!」

とツッコみどころ満載すぎるシチュエーションにまたもや二人で大爆笑。

アブデルは、夏が終わったら一度帰国するが、また少ししたら今度はアジアの旅をスタートさせるそう。

タイミングが合えばアジアのどこかの国で再会しよう!と話した。

もし今度また彼に会ったのなら、もっと自分の国の色々なことについて話したい。

そしてそれは、語学だけが上達すれば良いわけじゃないということは確かだ。

そんなことを考えながら、リスボンの夜は更けていった。

ちなみにその日の明け方、酔っぱらったオランダ人男子二人組のいびきに

キレている彼を見て、「仏の顔も三度まで」という言葉を思い出しながら、

早朝、私はリスボンを後にした。